日差しとの闘い:日焼けによる皮膚の疾患と日焼け止めについて

メディカル

先週末、子供のスポーツチームの試合があり、お世話を兼ねて応援に行きました。試合のスコアや放送、審判員へのお茶出し等がありました。当日の天気ですが、気温はさほど高くないようでしたが、非常に日差しが強く、帽子はかぶっておりましたが、試合中のお世話のため日傘を差せる状況ではなく肩や足など服の上からでも太陽の熱を感じました。そして大失敗だったのは、手首あたりが真っ赤に日焼けしてしまったことです。長袖(十分袖)を着るつもりだったので、手の甲までは日焼け止めを塗ったのですが、腕には塗っておらず、そのことを忘れて七分袖のシャツを着て出かけてしまったのです。夜お風呂に入っているときに痛みを感じ、真っ赤になっていることに気が付きました。軽い火傷というくらい真っ赤になってしまいました。

そこで今回は日焼けをテーマに、皮膚の疾患や日焼け止めクリームの成分などについて述べていきたいと思います。

◆紫外線とは

日焼けの原因となるのは、太陽光線に含まれている紫外線です。紫外線は波長が短いため、人間の目には見えず、肌に直接当たっても熱さを感じることはありません。しかし、エネルギーが強いため皮膚細胞にダメージを与えます。紫外線に長時間さらされて皮膚が火傷を起こし熱く感じるのは、太陽熱ではなく「炎症」によるものです

太陽光線には、紫外線のほか、可視光線、赤外線が含まれます。可視光線はその名の通り、人間が視覚的に認識できる光線です。これには、虹の色として認識することができる赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の色が含まれます。

赤外線は波長が長くエネルギーが低いため、直接視認することはできません。赤外線が物体に吸収されると、エネルギーは熱として放出され、熱を感じることができます。そのため、赤外線は「熱さ」や「暖かさ」を感じさせる光線と言えます。

◆紫外線の種類

紫外線は、その波長によりUV-A(315~400nm)、UV-B(280~315nm)、UV-C(100~280nm)の3種類に分類されます。波長が短いほどエネルギーが強く、生物に対する影響も大きくなります。

最も波長が短く、エネルギーが強いのがUV-Cです。UV-Cは生物のDNAに損傷を与える力があり、これは主に殺菌の目的で利用されています。特に260nmの波長が最も効果的とされています。UV-Cは通常、地球のオゾン層によって遮断され、地表には到達しません。

次に影響力があるのはUV-Bです。強い日焼け、いわゆる「サンバーン」を引き起こしたり、皮膚がんや白内障の原因となる可能性があります。UV-BはビタミンDの生成に必要であり、そのためには体内で一定の量が必要です。また、この波長の紫外線は治療や診断に使われます。

一番波長が長く、一般的には危険性が低いとされるのがUV-Aです。地表に到達する紫外線の約90%を占め、私たちが日常的に最も多く接触する形の紫外線です。長時間にわたって浴びると、肌の老化や色素沈着を引き起こす可能性があるため、侮ってはいけません。

◆日焼けのメカニズム

人間の皮膚にはメラニンを産生する細胞であるメラノサイトがあり、紫外線から皮膚を守る役割を担っています。紫外線を浴びるとメラノサイトの活動が活性化してメラニンが大量に作られ、肌の色を濃くすることで紫外線ダメージから皮膚を守ります。これが日焼けの仕組みです。メラニンによる紫外線保護作用を超える量の紫外線を浴びると皮膚が炎症や色素沈着を起こします。

メラニンが充満したメラノソームは、メラノサイトの先端から角質形成細胞(ケラチノサイト)に移され、メラニンが現れます。メラニンはケラチノサイト内に留まり、紫外線から細胞核を守る役割を果たします。メラニンが紫外線を吸収し、それによる細胞核のDNAへのダメージを防ぐためです。

◆日焼け止め

肌の老化や皮膚がんなど日焼けによるリスクを軽減するためには、日焼け止めを使うことが推奨されます。日焼け止めは紫外線から肌を保護し、肌の問題を防ぐのに役立ちます。また、日焼け止めは一度塗っただけで一日中有効なわけではないので、数時間おきに再び塗ることが重要です。

日焼け止めにも様々なタイプのものがありますが、私が使用している日焼け止めについて成分を確認してみました。それぞれの成分はどういった効果が期待されるのでしょうか。

成分リスト、非常に長いですね。これらの成分は主に紫外線を防ぐ役割を果たすもの、製品の塗布感や安定性を保つもの、そして肌への潤いやその他のケアをするものに大別されます。以下に、主要な成分についてみていきましょう。

成分の一部を取り上げてみました。調査をしていくうちにわかったのですが、国によっては紫外線吸収剤の入った製品の販売を禁止する動きが出ているようです。紫外線吸収成分であるメトキシケイヒ酸エチルヘキシル(オクチノキサート)などは、海へ流れ出ることにより、サンゴ礁を死滅させるなど海洋生物に悪い影響を与えているため、ハワイではそういった成分の入った日焼け止めの販売を禁止する法案が可決され、2021年1月より施行されました。また、パラオでは持ち込みも禁止されているようです。ご旅行の際にはお気をつけください。

日焼け止め以外にも、日傘や長袖などで調節をしてうまく日焼け対策をしていきましょう。

◆日焼け止めの特許を読む

”Sunscreen preparation” US5945090A

日焼け止め製造プロセスである、水相と油相の混合による乳化(Emulsion)について記述してある部分を抜粋し、和訳をしてみました。

参考サイト:https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-40uv.html 気象庁

https://www.dermatol.or.jp/ 日本皮膚科学会

https://cosmetic-ingredients.org/ 化粧品成分オンライン

https://www.sccj-ifscc.com/ 日本化粧品技術者会

https://www.palau.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html 在パラオ日本大使館

※個人的に調べた情報です。皮膚のトラブルは医師等専門家にお尋ねください。

用語集

pigmentation 色素沈着

epidermis 表皮

keratinocyte ケラチノサイト(表皮を構成している細胞)

lamellar granules ラメラ顆粒

basal lamina: 基底膜

spinous layer: 有棘層

granular cell layer: 顆粒層

stratum corneum: 角質層

melanin granules: メラニン顆粒

melanosome: メラノソーム

golgi apparatus: ゴルジ体

mitochondrion: ミトコンドリア

rough endoplasmic reticulum: 粗面小胞体(粗面内質体)

nucleus: 細胞核

dendrites: 樹状突起(デンドライト)

melanocyte メラノサイト

melano- 黒い

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