ゴムのシール材としての役割

化学

ゴムについて

天然ゴムと合成ゴムの違い

天然ゴムは、ゴムノキ(ヘべア・ブラジリエンシスなど)の樹液から作られる。弾性と柔軟性、そして耐摩耗性と抗引裂性を持つ。タイヤ、ゴム製の靴、医療用品などに使用される。欠点としては、熱や油に対して弱く、外気に対してもある程度脆弱だということだ。

合成ゴムは、石油ベースの化学物質を原料として、人工的に製造されたもので、天然ゴムに比べて、より広範な温度範囲で使用することができ、特定の化学物質、油、および天候条件に対して耐性を持つ。自動車部品、工業用ホース、ゴム製シーリング材などに使用される。合成ゴムには、ニトリルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン・モノマー(EPDM)ゴムなど多くの種類がある。

ゴムのシール材としての役割

①気密性の確保 Ensuring Air Tightness

ゴムのシール材は、ガスや液体が漏れないようにする役割を持つ。

自動車のタイヤ、各種のパイプ接続部、機械内部など

②外部環境からの保護 Protection of External Environment

外部の汚れ、水、湿気、化学物質などから内部部品を保護する。

③耐摩耗性と耐久性 Abrasion Resistance and Durability

摩耗と衝撃に対して強いため、性能が長期間維持され使用できる。使用条件にもよるが、低負荷環境においては数年から10年ほど使用できる。

④緩衝 Shock Absorption

振動や衝撃を吸収し、部品間の摩擦や損傷を防ぐ。

⑤柔軟性 Flexibility

形状を変化させやすい。

⑥温度耐性 Temperature Resistance

ゴムは、高温および低温の両方に対して耐性を持っているため、多様な環境条件下で使用できる。

特許明細書

シール材としてのゴムに関する、以下の特許を取り上げる。

【公開番号】WO2011096491A1

【公開日】2011年2月3日

【発明の名称】タイヤパンクシール材

引用:

要約

本発明は、シール性能と保管性能を両立させることができるタイヤパンクシール材の提供を目的とするものであり、天然ゴムラテックス、凍結防止剤およびアクリルエマルジョンを含有し、前記天然ゴムラテックスと前記アクリルエマルジョンとの固形分の質量比率(天然ゴム/アクリル樹脂)が50/50~15/85であり、前記凍結防止剤の量が前記天然ゴムラテックスおよび前記アクリルエマルジョンの固形分の合計100質量部に対して100~300質量部であり、前記天然ゴムラテックスおよび前記アクリルエマルジョンの固形分の合計量がタイヤパンクシール材全量中の20~40質量%であるタイヤパンクシール材を提供する。

まずは、要約を読んでわからない用語を調べることにした。

アクリルエマルジョンとは何か?

アクリルエマルションとは、アクリル酸エステルなどのモノマーを水中で乳化重合させたエマルションポリマーのことである。

モノマーとは、重合体を行う際の基質であり、単量体ともいう。合成ゴムの生成に関して言えば、原油を精製して得られるナフサを高温で水蒸気とともに熱分解し製造される基礎化学品から作られる。

引用元:石油化学工業協会

アクリル酸エステルとは、原油からとれるプロピレンを原料とするアクリル酸に、アルコールを化学反応させて得られるもの。塗料・粘接着剤・合成樹脂・建材などの品開発に使われる中間体原料。

乳化重合とは、水などの溶液の中に、溶けにくいモノマーと乳化剤(界面活性剤)を混合し、その中に重合開始剤を加えて行う重合のことである。乳化重合によって得られたものをエマルションポリマーまたはエマルション重合体と呼ぶ。

乳化重合:emulsion polymerization

モノマー:monomer

アクリル酸エステル:acrylic ester

エマルションポリマー:emulsion Polymer

石油から作られる代表的なモノマーは、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどの基礎化学品で、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステルなどは基礎化学品を原料として製造されたものである。

シール材に凍結防止剤を含有させる理由は?

低温環境でのゴムの柔軟性と機能性を維持するためである。低温でゴムが凍結または硬化すると、シール材としての性能が大幅に低下する。

凍結防止剤:anti freeze agent

【訳例】

Tire Puncture Sealant Material

Abstract

This invention aims to provide a tire puncture sealant material that can balance sealing performance and storage performance. It contains natural rubber latex, an antifreeze agent, and an acrylic emulsion. The mass ratio of the solid content of the natural rubber latex to the acrylic resin (natural rubber/acrylic resin) is 50/50 to 15/85. The amount of the antifreeze agent is 100 to 300 parts by mass per 100 parts by mass of the total solid content of the natural rubber latex and the acrylic emulsion. The total amount of the solid content of the natural rubber latex and the acrylic emulsion is 20 to 40% by mass of the total amount of the tire puncture sealant material.

参考サイト:

大阪有機化学工業株式会社

大阪有機化学工業株式会社 : アクリル酸エステルの総合メーカー
大阪有機化学工業株式会社は塗料・インキ・粘接着剤・電子材料部材等の樹脂原料として幅広い産業分野で使用されるアクリル酸エステルを研究開発しています。

石油化学工業協会

JPCA 石油化学工業協会

大日本塗料株式会社

大日本塗料株式会社
大日本塗料のオフィシャルサイトです。構造物・重防食用塗料や建材用塗料を中心とした総合塗料メーカー。企業情報、IR情報、商品情報、採用情報などを掲載しており、商品検索やセミナー予約を行うことが出来ます。

Wikipedia

Wikipedia, the free encyclopedia

コメント

タイトルとURLをコピーしました