硬度と歯について

メディカル

こどもがクイズを出してきた。

「硬さについてのクイズだよ。ダイヤモンドが10、鉄が4なら、歯はいくつでしょう?」

ダイヤモンドが一番硬いことは知っている。ということは、硬さを10段階で評価しているということだな。鉄が4なら、歯は一体どのくらいの硬さだろう。歯は確かかなり硬いはずだが、鉄と比べてどうだろうと悩んだ末、「3」と答えてみた。すると、「正解は7だよ」とのこと。こどもの参照した書籍には詳しい解説がなかったため、Chat GPTに聞いてみた。

ChatGPTの回答から、「モース硬度」「エナメル質」というキーワードがわかったので、それぞれについて調べてみようと思う。

モース硬度とは

モース硬度とは、モース硬さ(Moh’s hardness)、モース硬さスケール(Moh’s scale of hardness)とも呼ばれ、鉱物に対する硬さの尺度のひとつである。10段階の整数値で表し、それぞれに標準鉱物を対応させて設定する。基準は「あるものでひっかいたときの傷のつきにくさ」であり、「たたいて壊れるかどうか」の堅牢さ(靭性:toughness)ではない。

「モース」はこの尺度を考案したドイツ人鉱物学者フリードリヒ・モースに由来している。

モース硬度計

引用元:Wikipedia

引用元:https://www.nps.gov/articles/mohs-hardness-scale.htm

標準鉱物

標準鉱物のうち代表的なものは、ダイヤモンドが10、トパーズが8、石英が7。石膏(硫酸カルシウムCaSO4を主成分とする鉱物)が2で、これは指の爪で傷をつけることができる。

身近なものの硬度

引用元:Wikipedia

研磨剤など工業分野の材料の硬度を測定するために、10段階のモース硬度をさらに15段階に分けた修正モース硬度が使用される場合がある。

ビッカース硬さ

別の硬さを表す尺度としてビッカース硬さ(Vickers hardness)というものがある。これは押し込み硬さの一種である。

引用元:Wikipedia

歯の硬さ

人間の体の中で一番硬い組織は歯である。

歯を削るときの器具には、ステンレスにダイアモンドの粒子を付けたものが使用される。

その硬さの理由はエナメル質である。エナメル質は、歯の最外層を形成する物質で、主にヒドロキシアパタイト(ハイドロキシアパタイトhydroxyapatite, HAP,  水酸燐灰石)というミネラルから構成されている。このミネラルはカルシウムとリンの結晶であり、非常に高い硬度を持っている。

歯髄:俗にいう歯の神経のこと。(dental pulp)

硬い部分はエナメル質であり、冒頭で述べた10段階の硬度で表すと、6か7くらいのようだ。日本の歯医者さんのブログでは大抵7とされていて、水晶と同じくらいの硬さだと書かれていることが多いです。

海外の歯科関係のブログやウェブサイトによると、5か6とされている。これは冒頭のChat GPTの回答と同様にエナメル質と象牙質を含んだ歯全体の硬さについて考えているからだろう。

エナメル質は硬い組織ではあるが、酸に弱く、強い酸に触れると化学反応を起こして分解しとけてしまう。エナメル質が溶けることにより、象牙質がむき出しになり、食べたり歯磨きなどで摩耗してしまう。これを放置すれば、知覚過敏症や虫歯が進行する。わたしも数か月前痛みを感じたため、虫歯だと思い歯科に駆け込んだら、知覚過敏だった。特に治療もなく、シュミテクトの試供品をもらい帰宅したのだった。

酸によってエナメル質が溶ける現象を「酸蝕症」といい、日本人の4人に1人に上るそうだ。

内因性として胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease、GERD)やアルコール依存症が指摘されたり、外因性として酸性度の高い飲食物の摂取が考えられる。

引用元:https://www.chemistrylearner.com/ph-scale.html

エナメル質は唾液の働きによって修復されることがある(再石灰化)。しかし、大きな傷やすり減り、虫歯になってしまうと、自然に修復するのは難しいようだ。

フッ化物によって修復可能である。こどもを定期的な検診のため歯科に連れて行くのだが、毎回フッ素塗布をしてもらう。フッ素塗布により再石灰化を促進する。

特許を検索してみた。

特許明細書

エナメル質の保護及び修復方法

How to protect and repair enamel                  

JP2017510618A

Treatment of enamel with a substantially anhydrous enamel protection and restoration toothpaste gel containing stannous fluoride, calcium, and a long-acting drug comprising an emulsion of polydimethylsiloxane in a nonionic surfactant Wherein the persistence of the stannous fluoride and calcium to the biofilm present on the enamel is enhanced through calcium binding shifting from bidentate to monodentate in the presence of stannous fluoride, and The method wherein the toothpaste gel has a substantially improved enamel protection factor (EPF) and enamel restoration factor (ERF) value compared to a fluoride toothpaste treatment using comparable or higher fluoride levels.

【公開訳】

フッ化第一スズと、カルシウムと、非イオン性界面活性剤中のポリジメチルシロキサンのエマルションを含む持続性薬とを含有する実質的に無水のエナメル質保護及び修復歯磨きゲルを用いるエナメル質の処置方法であって、エナメル質上に存在するバイオフィルムへの前記フッ化第一スズ及びカルシウムの持続性がフッ化第一スズの存在下で二座から単座へシフトするカルシウム結合を通じて増強され、かつ前記歯磨きゲルが、匹敵するか又はより高いフッ化物レベルを用いるフッ化物歯磨き処置に比べて実質的に改善されたエナメル質保護係数(EPF)及びエナメル質修復係数(ERF)値を有する方法

まとめ

硬度の尺度についての疑問から歯の構造を調べ、エナメル質について理解を深めることができた。おかげで定期的な歯科検診についても思い出したので、近いうちに行ってみようと思う。

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